人材育成とは、OJT・OFFJT・自己啓発、さらに広く解釈すれば、人事評価・ジョブローテーション制度・目標管理制度・メンター制度などを言います。その中の人事評価で人材育成が行えるものなのでしょうか?
給与設計の考え方では、人材育成は人事評価でできるものではない。「人は育てるものではなく、育つもの」だと考えます。そのため、人が育ち自立性を持って仕事をできるような環境整備を行うことが、経営者・幹部社員の責務だと考えているためです。
中小零細企業では、専門で人事評価を行う人を設定することは難しい場合がほとんどです。1人が、何役も兼任していますし、難しい人事評価を行うことに物理的時間的に制約される場合がほとんどなのです。
そのため給与設計では、人を評価するものでなく、仕事を評価することで、「給与を分配するための基準」が人事評価であると定義します。
よく、給与設計の説明を行うと、お金で人を釣るのは良くない!私はこんなことには賛成できない!と言われることがあります。
しかし、よく考えてみてください。人の生活基盤は何ですか?
「人はお金がすべてではありません。」というのは綺麗事です。お金を稼ぐためだけ働くのではないことは確かです。生きがいや働きがいが重要なことは承知しています。
しかし、現実の生活はお金が必要であり、獲得するその手段として労働があります。それなら、その仕事(労働)の成果を、対価としてのお金がなければなりません。
つまり、自分の仕事の成果をお金で評価されるのは当然なのです。つまり仕事の“あかし”なのです。
このように頑張れば、このように給与が払えるようになります。と示しあげることこそ、会社の義務なのではないでしょうか?
従業員が自分のどのような頑張りがどう評価されるか分かる方が、より自立的に働こうと考えるのです。
さらに言えば、今は仕事よりも介護や育児で時間の方が欲しい。という方もいらっしゃるでしょう。そうした方でも柔軟に対応するには、仕事内容ごとに金額が決まっている方がやりやすいのです。
よく、完璧な人事評価制度を作成し、その後は一切の変更をしない。ということを聴きますが、現在の様な経営環境の変化が激しい中で対応できないと思います。
少し考えてみれば分かりますが、そもそも、完璧な制度などが短期間の内にできあがるわけもありません。
それよりも、継続的に見直しが簡単にできる仕組みを作った方が良いのです。
もっと具体的な仕事内容に着目した、経営環境の変化に耐えられる、さらに経営環境の変化以上に変化する従業員の環境変化に対応できる給与体系に変更することが重要なのです。
今までの考え方で作成した給与体系で、不合理なことが起こっていたり、従業員からの不平・不満が顕在化、お悩みの方は、是非給与設計士協会にお問い合わせください。